環境省は15日、現在使用中の高濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む製品について、2024年3月末までの無害化処理を義務付ける方針を決めた。がんを引き起こすなど毒性が強いPCBの早期全廃に向け、来年の通常国会で特別措置法改正案の提出を目指す。
PCBの濃度が5千ppmを超す高濃度廃棄物は、24年3月末までに北海道室蘭市など全国5カ所の施設で無害化処理を完了させる計画が定められている。一方、使用中のPCB製品は廃棄や無害化処理が保有業者の判断に委ねられており、PCB全廃の課題となっていた。
[引用元:東京新聞HP]
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HUB’S EYE(リサイクルハブコンサルタントの目)
[今回の改正に至った背景]
1.PCB撤廃期限の死守
PCBについては、ストックホルム条約で2028年までに全廃することが求められています。わが国でもPCB特措法により2016年迄にPCB廃棄物の処分を完了させることを目標に掲げてきました。
しかし、現状のペースでは処分完了に2035年までかかる見通しであることが判明し、これでは特措法はもとより、ストックホルム条約が求める期限にも間に合わないことになります。
2.PCB処理対象の明確化
これまでは使用中のPCB含有製品に関しては、廃棄・無害化処理などは保有業者の判断に委ねられていました。しかし、使用中のPCB含有製品の処分が進まなければ、PCBの完全撤廃への道は遠のくことになります。
以上の背景から、遡ることの2014年6月6日にPCB廃棄物処理基本計画の変更が告示されました。今回の改正はそれを受けたもので、中身としては、これまでは処理の目処が立っていなかった使用中のPCB含有製品に対し、改めて処分を義務付けたものになります。
[今回の改正の意義と今後について]
昨年の基本計画変更、そして今回の特措法改正により、PCBの全量処分に向けての道筋は整ったと考えられます。後はこれを具体的に進めていくための仕組みや体制を、業界としてどう構築していくかがポイントになってくるでしょう。今後のPCB処理にかかわる動きに注目です。
(参考)
環境省 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づくポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の変更について」
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18258